DEBUT

夏真っ盛りの8月、城崎温泉を拠点に活動する
ダンスカンパニー『とことこダンサーズ』が誕生しました。




誰かがつくった振付を「じょうずに」踊るのではなく、自分たちでまちをリサーチし、アイデアを出し合って話し合いながらオリジナルのダンス作品をつくり、発表するこどもダンスカンパニー。全国的にも稀有であたらしいこの取り組みにエントリーしてくれたのは、城崎町内、豊岡市内の小学1年生〜5年生の10人です。




まずは顔合わせからの初日。お互いの名前を覚えることからスタートして、遊びを共有したり、1人1人の好きな色、最近の夢、ひみつの話などを出し合ったり。みんなでつくるダンスの材料集めはじまりはじまり。



8月26日〜28日の3日間はリサーチ&シーンづくりでした。
「今回のダンスの材料にしたい『ものがたり』ってある?」と聞くと、
数人から「きのさきのきのさきのものがたり!!!」の声が。ん、なんのこと❓

よく聞いてみるとそれはお祭りの時にオンセンジャーの紙芝居で登場していた1300年前の城崎温泉のはじまりの物語、「城崎」の「木の先」のお話のことでした。なるほどね!と、早速オンセンジャーさんに相談。こころよく紙芝居を貸していただき、しかもご住職に読んでいただけることに!ぜいたく〜!


紙芝居を聞いて、これは温泉寺でご開帳中の十一面観音菩薩立像のお話なのだ!とわかった子どもたち。終わるとすぐに「観音さまに会いに行きたい!」今度は温泉寺リサーチを強くリクエスト。




というわけで翌日は、観音さまに会いに行くため、山登りからスタートしました。ご住職から縁起図を見せていただいたり、千手観音について、四天王について、道智上人について、、いろんなお話を聞かせていただきながら、子どもたちの口からはたくさんのおもしろいキーワードが。

逆立つ髪の毛 1000本の手 あたまの上の顔
鬼を踏む 心の中の悪いヤツ いい力を一箇所に集める
まんまるの目 遠くの人を助ける長い手 でかい耳 ・・・おお、使えそうだね!



ロープウェイで下山し、早速その言葉をダンスにしてみることに。
この3日間でどんどんいろんなシーンができあがっていきました。

9月、再集合した私たちはミニパフォーマンスに向けて、
1つ1つのシーンを「どのように」つなぎ合わせるかを話し合い。5時間というプロも顔負けのリハーサル時間を見事な集中力で、お弁当のついでにみんなで足湯に入ったりもして、楽しく乗り越えた2日間。




そしてむかえた9月29日、ついにミニパフォーマンス当日です。
ダンス作品をつくるのはもちろん、人前で踊るのも初めてな子どもたち。まずは親御さんや関係者の皆さんの前で『発表する』ということに慣れるためのミニパフォーマンスでした。

当然『リハーサル』も『通し稽古』も『客入れ(お客さんが入場すること)』も、大人の合図を待たずに自分たちのタイミングで出たり、ハケたりすることも初めて。




ありがたいことに20名以上のお客様に立ち会っていただき、キンチョーの本番はその恥ずかしさのあまり、25分間あるはずの作品がなぜか15分間になってしまうというアクシデントも!それでも1人1人が自分の足でしっかりと”舞台”に立てていて、ようやくとことこはスタート地点に立つことができました。



次の舞台は城崎温泉恒例の文化イベント『文化のつどい』。
本格的なステージで、本格的な照明の下で踊ります。

一歩ずつ、前へ。

秋からは特別ゲストによるスペシャルワークショップも盛りだくさんです!

2020年3月の本公演に向けて、
とことこダンサーズのダンスの旅はまだまだ続きます。




※とことこの由来:昔、城崎温泉で「温泉が出ますように」とお祈りしていた道智上人がコンコンとたたいて見つけた水『独鈷水』(ドッコスイ・トッコスイ)からきています。メンバー曰く、私たちはトコトコとどこへでもお話を聞きに行くし、踊りに行くよというメッセージが込められているそうです。